OriHimeと作る未来

北海道倶知安(くっちゃん)株式会社ふじ井・お菓子のふじい・カナリアップ代表藤井千晶です。

工場建築がスタートする

ここに建つ

洗剤のニオイなどの「香害」により、夫のタカヨシが化学物質過敏症になった。物理的に人と会いづらくなっていく「カナリア」…。

当社でニオイの規制をしたところで、お客様のニオイ・仕事に関わる方々のニオイの規制は簡単なことでは無い。

カナリアップの「お菓子工場」兼「事務所」兼「寮」を建築するにあたり、業者さんとの打ち合わせを多く重ねなければいけない。そんな中、タカヨシがそれらに参加できないことに対して、私も彼も非常にストレスを感じていた。

業者さんと私で話す → タカヨシに伝える

タカヨシと私で話す → 業者さんに伝える

そうすると、伝言ゲームになってしまうのだ。言葉を正確に伝えることは、思いの他難しい。

それは仕事をする上でも同様である。現在彼は他のスタッフと接しないで仕事をしているのだが、お互いに聞きたいこと、言いたいことが直接伝えられず、中間にいる私が全てをカバーしなければいけない。

みんなで一緒に話せたらいいのに。

そんな中たまたま、WEEKLY OCHIAIという番組で四肢がない身体障害者の乙武さんが紹介していた、「OriHime (オリヒメ)」というロボットの話が物凄く心に引っかかった。

OriHimeとは
OriHimeは分身です

子育てや単身赴任、入院など距離や身体的問題によって

行きたいところに行けない人のもう一つの身体、それが「OriHime」です。

OriHimeにはカメラ・マイク・スピーカーが搭載されており、

家や会社など行きたいところに置き、インターネットを通して操作できます。

OriHimeを操作することで、周囲を見回したり、あたりの人と

「あたかもその人がそこにいるように」会話できます。
                        オリィ研究所HPより引用

番組では、難病の方でも在宅で仕事ができるロボとして紹介されていた。開発者の吉藤オリィさんの新刊の本が丁度出たばかりで、後日その本を買って読んでみた。そして…衝撃を受けた。

そもそも「孤独」とはなんなのか

身体をアップデートするという革新的な発想。既存のものを壊すのではなく、今の時代に合わせて更新していくという概念。

難病である人と向き合いながら、孤独とは何かを問いながら、自分ができることは何なのかを考え続ける。そんな彼の志の高さに震えた。

ニオイが原因で体調不良だということに対して、職場・周囲からの理解を得られない、家族にも理解してもらえない…その結果「孤独」に追い込まれるというケースはとても多い。カナリアップをやっていると、そういう方からの声をよく聞くことがある。

以前ご連絡いただいた方の中には、「もともと接客業をしていて、人とお話しすることが大好きだったのに、そういう仕事ができなくなったことが辛い。」という方もいる。

OriHimeはあくまでツールだけれども、これを使って、私が作れる新しい世界があるかもしれない。

そして、何より「孤独」と向き合い「孤独を知ってる」人が作ったものが、どんなものか見てみたい。

ネットやYouTubeなどで調べれば画像や動画は出てくるけれども、実際に使ってみなければわからない。そこで、制作元のオリィ研究所に連絡をし、すぐに年間契約をした。

そして、やってきたOriHime

外装

開けたらこんな感じ

手乗りサイズで可愛い!操作も簡単!動くとさらに可愛い!

手乗りサイズ

早速これでスタッフミーティングをしてみたら、盛り上がる!

スタッフと

私たち側からはタカヨシの姿は見えないが、タカヨシ側からはこちらはみえる。

OriHimeを使い始めた時は「タカヨシさんの姿が見えた方がいいじゃん」「zoomとかSkypeで良いよね?」という人がいたのだが、使用感としてはタカヨシは「自分が見えないから気軽に参加できる」ということだ。

また、他のスタッフから見ても「表情とか見えないから、気を使わなくていい、中身タカヨシさんとわかっていても怖く無い(笑)」とのこと。

そういうことなのだ。

全てが見えれば良いわけじゃなくて、視覚的部分の遮断でお互いが優しくなれる部分があるのだ。そして、次は建築業者の方との打ち合わせ。

建築と機械類の打ち合わせ

最初、建築業者の方も??????となったけど、

これも意外と普通に「タカヨシがそこにいる」感覚でお話ができることがわかった。

違和感は最初だけで、慣れてしまえば問題ないから、お菓子の商談など、本来タカヨシが行った方が良いものはドンドン参加させた。

今度は外へ連れ出そう。

使ってみてわかったことは、「色々な可能性がある」ということ。

カナリアになったから、外に出れないから、それを理由に引きこもるのはしょうがないのだけど、やれることはたくさんある。

勉強会の参加もOriHimeに行ってもらえば良い。そして、逆にOriHimeの中に講師やカウンセラーに入ってもらって、カナリアのもとに出向いてもらえば、勉強会や心のケアもできるじゃないか。

物理的には孤独であっても、心が孤独じゃなければ、やれることが広がっていく可能性は十分にある。

お菓子のふじいでは、在宅のカナリアさんをOriHimeの中に入れて店頭で接客させたい。接客のクオリティーを維持していくためには試行錯誤が必要だけど。全国各地のカナリアさんを交代で入れて、お話ができる形ができたら面白いと考えている。

店頭に置いたらこんな感じだけど、まだ実際に動いてない

OriHimeが来てくれたことで、思考が一気に広がった。アイデアを整理しつつ、それらをカナリアのためだけでなく、お店のためにも活用していきたいと考えている。

今後店頭で実証実験し、モデルケースの現場としての店舗にしていけば良いのだ。そこから未来が広がる可能性に心躍った。新しい仕事の形の仕組みが作れればとても面白い。

いや、作り上げる。


日本テレビ系列「バンキシャ」でオリィ研究所が取材された際の動画がありました。
こちらもぜひご覧ください。

 

 

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